豆いち 

珈琲豆とうつわと絵葉書の店

田口八重子さんとの接点。

2009/03/12 17:10/田口八重子さんとの接点。
などという大げさなものではないのですが、このアルバムには思い出があります。
田口さんが働いていたキャバレーの楽屋で、老アルトサックス奏者にサインをしてもらったからです。

新聞には飲食店従業員という書き方になっていますが、少し前ならキャバレーホステスという報道になっていたと思います。私としてはキャバレーのイメージが悪いためそのようなことになっているのでは、と思ってしまいます。でもキャバレーはみなさんが思うような、ピンクではありませんでした。小粋な大人の社交場なのでした。

今から20年ぐらい前になるでしょうか、バブルも後期の頃で、駅前にあるキャバレーは土地も十分に使っており、地上げの対象となることが多く、日に日になくなっていきました。

名門といわれた銀座クラウン、モンテカルロ 赤坂ニューラテンクオォーター、ミカドなどを筆頭に、新宿ハイツ、ムーランドール、ムーランルージュ、三光町ハイツ、池袋、銀座、北千住、横浜、新小岩などにあった福富太郎のハリウッド、大井町、鶴見、池袋、大宮、千葉などにあった杯一、鴬谷のスター東京、横浜のパリ、大宮のアポロ、蒲田チャイナタウン等など、まさに百花繚乱でした。

私が在籍していた「楽団 魅惑の羽衣」の先輩トランペッターはプロミュージシャンで、演歌バンドに長く在籍していました。そして時々トラと称してエキストラ(臨時)にキャバレーに入ることがあります。で、いつでも吹いているだけではつまらないので、キャバレー遊びをしてみようという計画が持ち上がりました。それで私がお供することになったわけです。

そしてその時選んだのが田口八重子さんが働いていた池袋杯一でした。パイイチと呼んでいましたが、パイチと発音している文章も見受けられます。田口さんはその後池袋ハリウッドに移られたようです。

そして最初で最後のキャバレー探検が始まりました。
確か最初は表口から店内へ、セット2000円とチケット500円のが4枚つづりで2000円だったでしょうか。合計4000円を払って入っていくと、ボックス席に通されました。セットメニューはビールとなんか乾き物のおつまみだったと思います。それからは来るは、来るは、おねえちゃんが!とにかく、とっかえひっかえやってきます。
馴染みになって通ってくれということで、すぐに名刺がいっぱいになりました。その名刺は残念ながら処分してしまいました。先輩はとっているかもしれません。

チケットで水割りとか、少し頼んだらすぐなくなってしまい、延長はできないということでその場を去りました。東大に行っているという振れ込みでやっているお姉さんもおり、とにかく自分の客を確保すべく、一生懸命で圧倒された1時間でした。何を話したのかは覚えていませんでしたが、若い人はいなかったので、面白がっていろんなおねえさんが来てくれたんだと思います。

それから今度は裏口へまわり、バンドの楽屋を訪問しました。バンドは管楽器の入ったバンドと、コーラスバンド(クールファイブみたいな)が30分交替で演奏するようになっており、音楽が途切れることはありません。
「○○ちゃんきてたの?」と海軍軍楽隊の生き残りのバンマスが私の先輩に挨拶してくれました。その時吹いていたアルトサックスが写真のアルバムの鬼敏剛さんで、渡辺貞夫さんの大先輩のその筋では名人と言われた方でした。日本のポール・ディズモンドといった感じでしょうか。

先生のレコードが手に入ったので、ぜひサインをしてほしい旨話して、首尾よくサインをいただきました。そして鬼さんはアルバムの解説を指して「石塚君、ここに書いてあることは全くの出鱈目だ。解説の○浪洋○という人と会ったこともなければ、こんなウソを書かれるいわれもない。だからレコード解説を見てしたり顔で話すやつらはみんなインチキなんだよ。」
それまでレコード解説でいろんな知識を得ていた自分を大きく恥じ、この老名人の言葉を胸に大きく刻んだ一瞬でした。

キャバレーの楽屋の廊下にはコクヨの大判の方眼用紙が3枚も貼られて、下の方にホステスの源氏名がずらりと並び、そのうえに指名の回数が○のシールで貼られていました。いっぱいの方は隣のグラフにはみ出ていますし、何も貼られていない方も結構いらっしゃいました。多分200名ほどはいたでしょうか。なんとも厳しい世界なのです。

その後ここに立った時、その場所は駐車場になって跡形もなくなっていました。私は一瞬でも田口さんと同じ廊下を歩き、その廊下に貼られた、彼女もそれを見て一喜一憂したであろうグラフをみたのです。そのことが忘れられません。

是非、一日も早く日本に帰ってこれることを願わずにおれません。

追伸:レコードデータ タイトル:ミスティー (アルトサックス・ムード)女の夜のシリーズ
アルトサックス:鬼敏剛 編曲:小野崎孝輔 モダンポップスオーケストラ
レコード番号:MR3077 ポリドールレコード 発売元:日本グラモフォン株式会社

見つけたら買いです!!
頑張って、見つけてください!
2009/03/12 17:10 (C) 珈琲豆屋です!

よく憶えてるね!

こんばんわ。
一緒にキャバレー遊びをした先輩です。
今、◯HKの「今夜はなまらナイト」
という番組を見ながら書いてます。
しかし君はよく憶えてるねー。
私は自分がいくら払ったのかジェンジェン憶えてません。
田口八重子さんの話も初耳です。
でも一言ツッコませて下さい。
あのレコード、「見つけたら買いです!!」
そうか〜〜〜??
そもそも見つからんだろ!
2009/04/04 03:49:先輩

先輩今日は!

こういうことはよく覚えているのですが、最近のことはさっぱり憶えることができません。

それはそうと、新宿コマに続きクラブハイツも2月一杯で閉店になったとのことで、フルバンドの人たちの新宿界隈の仕事場はステレオダンスホールのみとなってしまったようです。ただし札幌すすきののクラブハイツは営業継続中のようです。

このレコードにつきましてはその後どこでも遭遇しておりません。ただしサカオウが怪しいと思います。こういうのはあっちの人はしっかり勉強している風があります。
また、ムードテナーのまぶちゆうじろうという方をご存知でしょうか。誰かの変名ではと思っているのですが、、、どなたかご教示ください。
2009/04/04 11:33:mameichi

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